本好きつばきの3ポイント書評

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【書評】コミュニケーション断念のすすめ 信田さよこ 著

 

 

 

どんな人が書いてるの?

 信田(のぶた)さよ子さんという心理カウンセラーの方の著作です。

信田さんはアルコール依存症摂食障害、引きこもり、 DV 、児童虐待などに悩む人たち向けの カウンセリングを行っている方です。

 

どんな人向け?

今の日本の過剰に空気を読む風潮が辛い人。

家族関係、人間関係で悩みがある人。

DVに関係してしまいそうな人。・・っていったら、関係ない人なんていない気もしますが、ともかく、人間関係全般に何か難しさを感じている人なら救われる本でしょう。

 

ポイント1 衝撃の事実。コミュニケーションは、取らないほうがいい

コミュニケーションっていう言葉は、実は強者の言葉なのです。

弱い立場のものからは、何も言えないことが多い。もしくは、言っても相手にしてもらえないことも。確かにそうですね。

 

 会社や家族といった、力の強弱が作用している関係においては、この危険性が十分自覚されるべきだ。パワハラで訴えられる上司の多くは「自分としては部下のために十分にコミュニケーションをとっていた」と発言している。大学の教授の学生の間のアカハラ(アカデミック・ハラスメント)も、教授のほうは好意を覚えてコミュニケーションをとっているつもりでも、学生からすれば「先生だから断れない」と無理に笑顔を作っている場合がある。

 「コミュニケーション断念のすすめ」より

 

 家族内でも、従来の夫が強い家庭では、夫は「妻はこう思っているはず」と無邪気なまでに思いこみ、相手がどうおもっているのかなんか考えもしない。対等なら、相手がどう思っているのかは、相手次第だということを受け入れるはずなのです。それができずに「コミュニケーションが取れている」と思いこむケースが多いそうです。

 

ポイント2 チンケな絆より、お金と距離

特に家族の問題(DVや引きこもりなど)については、家族内で何とかするものであり、世間にする知らしめるのは恥ずかしいという風潮もあります。

しかし本当はそんなものより、物理的な距離とお金(自立させるという意味での生活保護の受給など)が解決に結びつくものだということを著者が経験から語ります。

本当のことを見てきた人の言葉は重みがあります。

 

ポイント3 家族、世の中からの「刷り込み」を疑おう。知るだけで楽になれる。

 

わたしたちは「刷り込まれて」いるんです。

絆は美しく、コミュニケーションは密であればあるほどよいと。

家族は絆で結ばれていて、家族の問題は家族で解決できると。

 

 私たちが当たり前に思っている、家族、親子、夫婦に関するさまざまな常識は、社会的に歴史的につくられてきたものである。つまり真理でもなく、本来的なものでもない。

 コミュニケーションが不足すると問題が起こる。それを解決するにはコミュニケーションを図ることだ。そして、苦境を乗り越えるには人と人との絆が力になるーーーこれもまた刷り込みであることは、ここまで書いてきたとおりである。

 「コミュニケーション断念のすすめ」より

 

 

これを知るだけでも楽になれると著者はいいます。

そうして、こういった、世間の「刷り込み」を疑えるようになるには歴史を学ぶのが重要だとか。特に明治以降の日本の歴史、とりわけ近代家族論に関する本を読むと、「家族」というものが社会の要請によってどのように変わってきたが、そしてどうなろうとしているのかを知ることができます。

何も絶対的なものはないのです

 

感想

コミュニケーションをとるのは良いこと。

また、コミュニケーションが能力が低い人は劣っている人だという認識。

「コミュニケーション能力を磨こう!」など、 いっけん良いものと思われていたコミュニケーションという言葉を疑いました

 

コミュニケーションを取るのが良いことだとは一概には言えないのです。(自分の意見を相手に伝えるという本来の意味だけならよいが、日本では非言語の部分が多すぎる。)

近しい関係ならなおさら、お互いの立場が対等でないと、弱いほうはすぐに追い詰められていくのです。

 

個人的には、問題解決には「コミュニケーションを取ろう!」ではなく、「離れよう」であったことが衝撃でもあり、でもなぜかホッとして納得できました。

 

みんな、自分を責めすぎ。

がまんしなくていいんだよ。

 

 

 

おまけ

信田さんのその他の著書

アダルト・チルドレンという物語』

『家族収容所』

『母が重くてたまらない』

タフラブという快刀』

『それでも家族は続く』

などなど、心理系の本が好きなわたしには興味をそそられる内容がたくさんです。

また読んでレビューします。